ISO 20022 とは何か?

ISO 20022 とは何か?

投稿者: Greg Mooney
投稿日: 2019年5月17 0 Comments

ISO 20022 が制定されてから何年も経ち、多くの金融機関がこの規格を利用し始めています。

たとえば、世界各国の金融機関などに高度に安全化された金融通信メッセージ・サービスを提供する、金融業界の標準化団体、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication、国際銀行間金融通信協会)は、最近、クロスボーダー取引の ISO 20022 規格への移行を促進するための共通エンドツーエンドを構築すると発表しました。

SWIFT は、効率性の向上、ストレートスルー処理のサポート、規制コンプライアンス向上の促進、当事者識別プロセスの改善、金融機関への新事業機会の提供を望んでいます。ISO 20022 への移行は決済コミュニティによって推進されており、ユーザーの積極的な関与と対話を必要とするでしょう。SWIFT では、ガイドラインが作成されたら、コミュニティにレビューとコメントを依頼する予定です。

ISO 20022 の歴史

今世紀に入ろうとする頃に、インターネットプロトコル(IP)の広範な拡張と、電子通信の事実上のオープンな技術標準としてのXML(Extensible Markup Language)の出現によって、ISO 20022 のような規格の必要性が認識され始めました。独自のダイアレクトを使用した、コーディネートされていない複数のXMLベースの標準化イニシアチブも出現し始めていました。

2004年に公開された ISO 20022 は、金融メッセージのスタンダードを開発するための ISO プラットフォームを定義するオープンな国際規格です。この規格は、単一の組織によって管理されることはありません。どの金融機関も参与可能で、自由にインプリメントできます。金融メッセージのスタンダードを作成するために使用できる、確立されたメンテナンス、ガバナンス、エボリューションのプロセスを備えています。

ユーザーと開発者は、この規格を使って金融プロセスとその背後のトランザクションをフォーマルでありながらシンタックスに依存しない表記法で表すことができます。トランザクションは、使用者に最適なシンタックスで物理メッセージに変換できます。

ISO 20022 が開発された時点では、XML が電子通信のための推奨されるシンタックスでした。そのため、ISO 20022 の初版は、メッセージのために標準化された XML ベースのシンタックスを提案しています。2013年に発行された規格の第2版には、ASN.1 を使用する可能性も含まれています。

ISO 20022 の利点

ISO 20022 は、金融機関、顧客、および金融取引の処理に関与する企業のクロスボーダー通信のための国際規格です。しかし、金融機関のすべてのコミュニケーションを合理化するために、新しい国内の金融メッセージの作成にも ISO 20022 を使用しようという大きな動きがあります。

この規格は、様々なビジネスドメイン、通信ネットワーク、そして金融機関・顧客・サプライヤのインフラストラクチャで、広範に使用できます。この柔軟性のために、金融機関は、コストを削減し、リスクにさらされる可能性を抑えながら、トランザクションの効率性を向上させることができます。以下のような利点があります。

  • 金融ビジネスプロセス通信用の共通言語ができる
  • 他のプロトコルとの相互運用性
  • 完全なトランザクションシーケンスを含む金融メッセージのスタンダード
  • 投資信託のためにも完全なデータセットとメッセージ
  • アルファベット以外の非ラテン文字もサポート
  • 送金処理が改善され、拡張も可能
  • これまでのクロスボーダー取引では許可されていなかったフォーマットの利用も可能

XML を使用して、シンタックス変更が発生しても対応可能なことは、ISO 20022 の重要な側面です。一般的なビジネスモデル方法論で、潜在的なユーザーのビジネスプロセスとその情報ニーズを、シンタックスに依存しない方法で、キャプチャ、分析、記述することができます。この柔軟なフレームワークを活用して、国際的に合意されたアプローチでビジネストランザクションとメッセージモデルを構築し、全世界で通用する語彙とシンタックスを使うシステムに移行することが推奨されています。

また、XML と ASN.1 のモデルとアウトプットは、ISO 登録機関 (Registration Authority) が管理する中央リポジトリに格納できます。このリポジトリは、ビジネスおよびメッセージコンポーネントのデータ・ディクショナリ、メッセージモデルとそれに対応する XML および ASN.1 スキーマを含むビジネスプロセス・カタログなどがあり、自由にアクセスできます。

国際金融機関にも、国内金融機関にも有意義な規格

Payment Components によると、ISO 20022 対応の体制を整えたり、対応を計画しているイニシアチブが世界レベルで約200存在し、さらに増えつつあります。市場統合、費用対効果、国際レベルへの拡張、規制改革、そして従来のシステムを置き換える必要性などのためです。

世界経済はデジタル時代を前提に機能しており、国際金融機関のみならずローカルの金融機関も、ISO 20022 のような規格に対応することは重要です。ISO 20022 対応ができていれば、複数の市場インフラをより簡単に管理でき、様々な銀行、企業顧客、その他の金融機関との取り引きが円滑になります。関与者が同じ規格に準じてコミュニケートする場合にのみ、このエコシステムは機能します。

ISO 20022 ソリューションを構築する際に考慮すべき重要なツールは、マネージド・ファイル・トランスファーです。プログレスの MOVEit マネージド・ファイル・トランスファー(MFT)ソフトウェアは、世界中の多くの組織で使用されており、 ファイル転送アクティビティを完全に可視化し、コントロールすることができます。中核となるビジネスプロセスの信頼性が確保でき、銀行、顧客、ビジネスパートナーとの間で、機密データを安全に規制に準拠した方法で転送できます。

ISO 20022 のインプリメントはそれほど簡単ではなく、妥当な期間と費用でプロジェクトを確実に完了させようとすると、専門の業者にサービスを依頼することになる金融機関も多いようです。

Greg Mooney

Greg is a technologist and data geek with over 10 years in tech. He has worked in a variety of industries as an IT manager and software tester. Greg is an avid writer on everything IT related, from cyber security to troubleshooting.

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